シューマン 《ミニョンのためのレクイエム》 対訳完成

ミニョンのためのレクイエムシューマン 《ミニョンのためのレクイエム》のリブレット歌詞対訳が完成しました。

こちら → ミニョンのためのレクイエム

「レクイエム」とありますが、このシューマンの曲は「Requiem æternam dona eis, Domine(主よ、永遠の安息を彼らに与え)」で始まる「死者のためのミサ曲」とは全く関係ありません。「ミニョンのための葬送の合唱」と理解したほうがよさそうです。

歌詞はゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」第8巻第8章のミニョンの葬式の場面からそっくりそのまま取られています。この場面の日本語訳を前後4ページ分、PDFにしましたので興味のある方はご覧ください。

PDFもこちら → ミニョンのためのレクイエム

国立国会図書館の近代デジタルライブラリーへ行くと「ヴィルヘルム・マイスター」を全巻、オンラインで読むこともできます。今回の日本語訳はここから拾ってきました。林久男(1934年没)の翻訳です。明治から昭和初期にかけてゲーテ研究で活躍された方のようです。

12分ほどの短い曲です。ここにも和訳のみ掲載します。

合唱
誰をか運び来れるこの静かな団欒(まどい)に。

童男
つかれし友を運び来りぬ。天の姉妹の歓びの声、いつかまた覚まさんまで、お身等のもとに憩わしめよ

合唱
この団欒には初(うい)の若人ぞ。よくこそ来れ。嘆きつつもいざ迎えん。これよりは童男(おぐな)もな来そ、少女(おとめ)もな来そ。ただ老いたるもののみ、心よく安らかに、この静かなる室(むろ)にこそ入れ。この愛(は)しきめぐしき子のみ、巌(いつ)き団欒に憩わしめ。

童男
あわれ、いかにわれら、こを運びくるを嘆きしか。ああされど、こはここに居るべき運命(さだめ)。われらも暫しここにあらしめ、泣かしめよ、泣かしめよ、この棺のべに泣かしめよ。

合唱
さはれ見よこの強き翼を。見よこのうるわしき軽羅の衣を。黄金(こがね)に光る頭(こうべ)のリボンよ。見よこの美しき気高き休憩(いこい)を。

童男
ああさはれ、翼にも飛び得ず。快(よ)き遊びにも綾羅は舞わじ。頭(こうべ)に薔薇を飾りし時、われらを視つめし、その優しき愛しき眼なざしよ。

合唱
たましいの眼もてかなた視よ。最美のもの最高のものを、人生を、星のかなたに運ぶ創造の力お身等に目ざめよ。

童男
ああされど、彼女はあらず。庭をさまようこともなく、草野の花を摘みもせじ。われらをここに泣かしめよ。彼女をここに置くなべに。われらをここに泣かしめよ。ここに彼女のそばちかく。

合唱
子どもらよ、帰れよ生に。迂ねる川辺をそよける風に、お身らの涙を吸わしめよ。のがれよ夜を。昼と歓楽と永続こそ、生けるものの運命(さだめ)なれば。

童男
さらばいざ!生に還らん。昼は仕事と歓楽と。夕はとみに休憩(いこい)をうけ、夜の眠りに蘇生(よみが)えらむ。

合唱
子どもらよ、急げよ生に。美しき人の綾羅の衣(い)に。神々しき眼なざしと永生の花冠(かむり)もて、愛はお身らに寄り来らむ。

合掌。

ミニョンのためのレクイエム
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