シェーンベルク 《モーゼとアロン》 ~祝!解禁~

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シェーンベルクはナチを逃れて米国に亡命しているため、著作権保護期間の計算は少々やっかいです。その計算のやり方について、私なりの考えを2回過去記事で扱っています。これであっているといいのですが…。
→ ワイル ≪七つの大罪≫ 亡命者と戦時加算
→ 【訂正】シェーンベルクは来年の今日が解禁日
戦時加算は連合国市民の著作物に対して、枢軸国側において約10年の保護期間延長を課すものです。ただし加算が必要なのは、戦前・戦中の著作物に対してのみです。戦後の作品には戦時加算は不要です。
未完のオペラ《モーゼとアロン》は戦後の作品でしょうか?
未完に終わったのだから、戦後の作品と考えたくなりますが、法的には講和条約が発効するまでは戦争中(ただし休戦中ということだと思う)で戦後ではないのですね。シェーンベルクの命日は1951年7月13日、サンフランシスコ講和条約の発効は1952年4月28日なので、シェーンベルクはまだ戦争中のうちに死んだ、よってシェーンベルクの作品は全て戦前または戦中の作品という理解でよいと思います。
では、オペラ《モーゼとアロン》は戦前の作品でしょうか?戦中の作品でしょうか?
実は、戦前と戦中(1941年12月8日~1952年4月27日)の作品では、戦時加算の日数が異なってきます。戦前の作品であれば、戦時加算はまるまる加算日数3794日(約10年)を保護期間に加えるのですが、戦中の作品は著作権取得日から講和発効前日までの日数を戦時加算日数とします。その日数分だけ、枢軸国によって著作権がないがしろにされていたと考えるためです。
《モーゼとアロン》は台本もシェーンベルク自身の手によるものです。1930年に第2幕までの台本が完成、1932年に音楽が完成、第3幕の台本は1934年に完成したようですが、結局曲がつけられることはありませんでした。
現在残っている形で完成していた「戦前」を著作権取得日と考えれば加算日数は3794日、一方、未完(未公表)に終わったのだから命日である1951年7月13日を著作権取得日と考えれば、その日から講和発効前日までの日数291日が加算日数となるのではないかと思います。
後者の解釈のほうが私には正しいように思えるのですが、その場合、《モーゼとアロン》のリブレットは今日まで待たずとも、2002年10月に公開可能だったのですがね。安全サイドに振って、本日リリースということにしました。
リリースしたリブレットは音楽の付いていない第3幕も含みます。第3幕はたいへん短い幕で、登場人物もほとんどモーゼとアロンだけ。そのため上演の際には、第2幕のあと第3幕を朗読したり戯曲形式で上演したりするみたいです。
12音技法で書かれたシェーンベルクの音楽は難解ですが、ドイツ語台本は、ドイツ語できない私が言うのもなんですが、わりと読みやすそうな感じです、たぶん…。ドイツ語翻訳ボランティアをお待ちしております。
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