ベルク 《ヴォツェックからの3つの断章》 YouTube動画公開

動画はこちら → ヴォツェックからの3つの断章
対訳はこちら → ヴォツェック
YouTubeと権利詐称するゴキブリ業者のせいで公開のタイミングが遅くなってしまいました。この動画のために去年の11月から準備を始め、先月上旬には完成していたというのに。
音源はヘルガ・ピラルツィクのソプラノ、アンタル・ドラティ指揮/ロンドン交響楽団です。この音源は公開から50年以上が経過し、日本をはじめ著作隣接権保護期間を50年と定める国では、パブリックドメインとなっています。
エーリヒ・クライバーは「職を賭してベルリンで初演する」とベルクに約束してくれたものの、そこからなかなか話が進まず悶々とするなか、ヘルマン・シェルヘンから勧められて演奏会用に編んだのが《3つの断章》なんだそうです。結局《ヴォツェック》は1922年完成のあと1924年に《3つの断章》初演を経て、1925年に全幕初演となりました。
《3つの断章》は第1幕と第3幕から抜粋し、さらに「ヴォツェックとアンドレス」「マリーとマルグレート 」「大尉と医者」「子供たち」の対話などの声楽パートは削って、ソプラノ1本で形になるように構成されています。
カルロス・クライバーがウィーン・フィル定期でこの曲を振った音源が海賊盤で流布していますが、カルロスは第3楽章だけは子役らを登場させオペラと同じ仕様で演奏していますね。私はてっきりそういうものかと思っていましたが、このドラティ盤のとおり子役もソプラノに担当させるのが《断章》本来の姿なのでしょう。
ヘルガ・ピラルツィクは「新ウィーン学派のスペシャリスト」として鳴らしたソプラノなんだそうです。そう言われると音程が正確でメカニックな歌唱を想像しがちですが、この音源を聴く限りその全く逆、ずいぶん演劇的です。
特に聴かせどころの第2楽章「マリー聖書を読むの場」。スコアではこの部分どうやって歌えと指定されてるんでしょう。シュプレヒゲザング?IMSLP に(ルルはあるのに)《ヴォツェック》が上がってないので確認できませんでした。ピラルツィクの歌はほとんど台詞に近い。マリーはろくな教育を受けていないので聖書をスラスラ読めない。そういう解釈のようです。
ミトロプーロス盤で全幕の動画対訳を作るつもりでいましたが、音源が捕獲できず時間が経つうちに、ステレオ録音のベーム盤の保護期間終了が視野に入ってきました。
■ 《ヴォツェック》 ミトロプーロス
録音:1951年 公開:1951年 保護期間終了:2001年12月31日→ Amazon
■ 《ヴォツェック》 ベーム
録音:1965年 公開:1965年 保護期間終了予定:2015年12月31日→ Amazon
■ 《ヴォツェック》 ブーレーズ
録音:1966年 公開:1971年 保護期間終了予定:2021年12月31日→ Amazon
ベーム盤の保護期間終了を待つ間、このドラティ盤《断章》を予習・復習にお役立てください。今週新国立劇場で公演中です。
アルバン・ベルク 《ヴォツェック》
2014/04/05(土) ~ 2014/04/13(日)
新国立劇場 オペラ劇場
ヴォツェック:ゲオルク・ニグル
マリー:エレナ・ツィトコーワ
大尉:ヴォルフガング・シュミット
医者:妻屋秀和
鼓手長:ローマン・サドニック
アンドレス:望月哲也
第一の徒弟職人:大澤 建
第二の徒弟職人:萩原 潤
白痴:青地英幸
マルグレート:山下牧子
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:ギュンター・ノイホルト
演出:アンドレアス・クリーゲンブルク
美術:ハラルド・トアー
衣裳:アンドレア・シャラート
照明:ステファン・ボリガー
このたび《ヴォツェック》テキスト対訳の体裁も改良しました。
1)拡幅する
2)原語ピリオドで改行を入れて読みやすくする
3)”かっこ” → 「かっこ」
4)役名を太字に
5)第2幕を1ページにまとめる
といったところです。前より多少読みやすくなったでしょうか。
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