
パパパァ――――ン!R. シュトラウス 《エレクトラ》 全曲のドイツ語日本語対訳字幕付きYouTube動画を公開します。リヒャルト・シュトラウス生誕150年の今年はこのオペラに締めてもらいます。
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リヒャルト・シュトラウス実はリヒャルト・シュトラウスとちょうど10歳違いだったホフマンスタールは今年が生誕140年、翻訳した楠山正雄がさらに10歳下で生誕130年と、2014年はトリプル・メモリアルイヤーなのでした。
音源はベーム指揮1960年の録音です。この録音を使って
2012年1月に公開した動画をもう一度作り直しました。
《アラベラ》を公開したときに書いたように、2012年以前にYouTubeに公開した動画で冒頭の音が欠落するという障害(?)が発生しています。《エレクトラ》のように華々しく開始する曲ではたいへん具合の悪いことになりますし、当時見落としていた誤りを訂正する必要もあって、改訂版動画を制作することにしました。
この動画がちょうど
動画対訳200本目となります。思い返すと
動画対訳1本目が《エレクトラ》、そして
動画対訳100本目も《エレクトラ》でした。この音源は
公開から50年以上が経過し、日本をはじめ著作隣接権保護期間を50年と定める国では、パブリックドメインとなっています。
R.シュトラウス:歌劇『エレクトラ』(全曲)
インゲ・ボルク
ジーン・マデイラ
マリアンネ・シェヒ
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ、他
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
カール・ベーム(指揮)
録音:1960年、ドレスデン(ステレオ)(P)1961
先月の《影のない女》と同じ
membranのボックスセットからリッピングしています。2012年の動画に使った国内盤(POCG-2667)、そして今年出た
オーストラリア盤よりマスタリングに成功していると思いました。ドレスデン・シュターツカペレうまくなったじゃん!と感じるほどです。(ちなみに日盤と豪盤の間に差は感じられない……
独盤は未聴)
「membran、GJ」と思いきや同時に大失敗もやらかしてくれました。
(1)チャンネル左右が逆
(2)練習番号127(トラック6の前…妹退場の直後)にギャップがある
公開した動画では、(1)は左右を入れ替えてリッピングすることで正しいチャンネルに直しています。(2)はいったん音楽が止まってしまいギャップのあと再開するところを音源データの切り貼りで連続しているようにごまかしました。

こういう失敗はよくあるのでしょうか。membran他に持ってないのでこういうのは初めてです。驚いたのはミスそのものより、membranのようなライセンス生産するメーカーが独自にマスタリングしているらしいということです。こういうメーカーは既発のCDからリッピングしたデータをマスターにするか、やってもせいぜい編集済みのデジタルマスターをライセンサーから借りてくるのだろうと思っていたのです。編集の手間なんてかけてたら商売にならんでしょうから。
私はこの失敗に気づいた当初、彼らは未編集のアナログテープをドイツ・グラモフォンから借りてミックスダウンする際にやらかしたのだと考えました。この録音発売当時のメディアはLPレコードです。《エレクトラ》の場合 100分を2枚4面に収める必要があります。プロデューサーはA面に収める最初の25分、ちょうど(2)のところで演奏をいったん止めたはずです。membranの中の人はそれを総休止と勘違いしてミックスしてしまったのだと、1カ月前に
《影のない女》の記事を書いたときまではそう考えていました。(ちなみに影無女のほうは(1)に気づかず左右逆のまま動画にしてしまいました)
しかしこの1カ月で考えを改めました。結論からいうとこのCDは
「板起こし」ですね。「板起こし」にもともと興味はないのでこんなにきれいに針音などの雑音を除去できるものなのか、ちょっと信じがたい感もなくはないのですが、そう考えるより他なさそうです。《影のない女》でも聴かれた歪みがこの《エレクトラ》でも聴き取れます。
《影のない女》の記事には「マスターテープの劣化」だろうと書きましたがそうではなく、これはLPレコード上で針が内周に入ったときに生じる類の歪みなのでしょう。この《エレクトラ》では例えばクリソテミスのアリアで「にいさまは帰ってこない…もうなんにも来やしないのだ」と歌うあたりなど、主にソプラノの声で歪みが顕著に現れます。
ですから(1)はLPプレイヤーとデジタルレコーダーの接続ミス、(2)はA面とB面をおざなりに繋げてしまった結果なのでしょう。
この「板起こし」、ソプラノに少々歪みがあってもオーケストラの音はCD音源より鮮度が高いように感じます。特にヴァイオリンの音はCD音源がやや輪郭が不鮮明なのに「板起こし」ではよりエッジが立っているように聴こえます。そんなわけで迷った末に「板起こし」を音源に選びました。まあ(1)(2)の失敗をフォローした音源を公開するというのも意味のないことではないと、良い方に考えることにしました。ドイツ・グラモフォンから「板起こし」よりずっとすぐれた正規リマスター盤が出たら、動画対訳 300本記念でまた《エレクトラ》を作るかもしれませんが……。
というわけで、どうでもいいことを長々と書いたところで今年の広報記事はおしまいです。最後になんとなく恒例となった今年よく見られた動画ベスト50です。
| 順位 | タイトル | 2014 再生回数 | 占有率 | 2014再生 時間(分) | 占有率 | 平均再生時間 |
|---|
| 1 | ワーグナー「ワルキューレの騎行」ショルティ指揮ウィーン・フィル(1957) | 142,486 | 8.1% | 243,530 | 3.0% | 1:42 |
| 2 | プッチーニ 《トゥーランドット》「誰も寝てはならぬ」デル・モナコ | 140,448 | 7.9% | 303,587 | 3.8% | 2:09 |
| 3 | J.S.バッハ《マタイ受難曲》第1部全曲 カール・リヒター(1958) | 110,804 | 6.3% | 1,528,884 | 19% | 13:47 |
| 4 | モーツァルト《レクイエム》「怒りの日」カラヤン指揮/ベルリンフィル | 108,475 | 6.1% | 227,735 | 2.8% | 2:05 |
| 5 | モーツァルト 《レクイエム》全曲 カラヤン指揮/ベルリン・フィル(1961) | 81,024 | 4.6% | 913,534 | 11% | 11:16 |
| 6 | ワーグナー「ワルキューレの騎行」カラヤン指揮/バイロイト祝祭管(1951) | 78,497 | 4.4% | 174,735 | 2.2% | 2:13 |
| 7 | プッチーニ 《蝶々夫人》 「ある晴れた日に」 マリア・カラス | 77,882 | 4.4% | 176,851 | 2.2% | 2:16 |
| 8 | ヴェルディ《椿姫》第1幕全曲 マリア・カラス@スカラ座 (1955) | 77,583 | 4.4% | 442,777 | 5.5% | 5:42 |
| 9 | ヴェルディ《レクイエム》「怒りの日」ライナー指揮/ウィーン・フィル | 74,181 | 4.2% | 222,571 | 2.7% | 3:00 |
| 10 | プッチーニ 《トスカ》 「歌に生き恋に生き」 マリア・カラス | 49,897 | 2.8% | 111,135 | 1.4% | 2:13 |
| 11 | モーツァルト《レクイエム》~キリエ カラヤン指揮/ベルリン・フィル | 43,639 | 2.5% | 109,044 | 1.3% | 2:29 |
| 12 | クルト・ワイル《三文オペラ》「モリタート」クルト・ゲロン(1930) | 41,416 | 2.3% | 48,506 | 0.6% | 1:10 |
| 13 | プッチーニ 《ラ・ボエーム》 「わたしの名はミミ」 マリア・カラス | 24,185 | 1.4% | 72,059 | 0.9% | 2:58 |
| 14 | J.S.バッハ《マタイ受難曲》第2部全曲 カール・リヒター(1958) | 24,100 | 1.4% | 475,379 | 5.9% | 19:43 |
| 15 | ヴェルディ《アイーダ》第1幕全曲 カラヤン指揮/ウィーン・フィル | 23,676 | 1.3% | 121,695 | 1.5% | 5:08 |
| 16 | マスカーニ 《カヴァレリア・ルスティカーナ》全曲 シミオナート / セラフィン指揮 | 23,556 | 1.3% | 181,774 | 2.2% | 7:43 |
| 17 | ヴェルディ《ナブッコ》行けわが想いよ黄金の翼に乗って/トスカニーニ | 21,340 | 1.2% | 69,164 | 0.9% | 3:14 |
| 18 | ビゼー 《カルメン》 「ハバネラ」マリア・カラス | 19,358 | 1.1% | 43,198 | 0.5% | 2:13 |
| 19 | ドヴォルザーク《ルサルカ》「月に寄せる歌(白銀の月よ)」 | 16,556 | 0.9% | 53,653 | 0.7% | 3:14 |
| 20 | ヴェルディ 《椿姫》全幕 ジョーン・サザーランド | 16,195 | 0.9% | 222,097 | 2.7% | 13:42 |
| 21 | クルト・ワイル《三文オペラ》序幕(モリタート)&第1幕 | 15,408 | 0.9% | 75,217 | 0.9% | 4:52 |
| 22 | ワーグナー《ワルキューレ》第1幕全曲 クナッパーツブッシュ指揮 | 14,258 | 0.8% | 93,726 | 1.2% | 6:34 |
| 23 | プッチーニ 《トゥーランドット》「誰も寝てはならぬ」コレッリ | 13,944 | 0.8% | 30,174 | 0.4% | 2:09 |
| 24 | ワイル 《三文オペラ》「モリタート」ロッテ・レーニャ(1) | 13,426 | 0.8% | 23,864 | 0.3% | 1:46 |
| 25 | サン=サーンス 《サムソンとデリラ》 「あなたの声に私の心は開く」 | 13,306 | 0.8% | 41,530 | 0.5% | 3:07 |
| 26 | モーツァルト《魔笛》「夜の女王のアリア」エルナ・ベルガー | 13,154 | 0.7% | 24,788 | 0.3% | 1:53 |
| 27 | ワーグナー《ワルキューレ》第3幕全曲 ショルティ指揮/フラグスタート | 12,946 | 0.7% | 101,254 | 1.3% | 7:49 |
| 28 | プッチーニ 《トゥーランドット》「誰も寝てはならぬ」ディ・ステーファノ | 12,540 | 0.7% | 25,894 | 0.3% | 2:03 |
| 29 | レオンカヴァッロ 《道化師》「衣装をつけろ」マリオ・デル=モナコ | 12,363 | 0.7% | 27,083 | 0.3% | 2:11 |
| 30 | モーツァルト《魔笛》「夜の女王のアリア」リタ・シュトライヒ | 11,687 | 0.7% | 23,792 | 0.3% | 2:02 |
| 31 | ワーグナー「ワルキューレの騎行」フルトヴェングラー指揮(1954) | 10,255 | 0.6% | 21,134 | 0.3% | 2:03 |
| 32 | カタラーニ 《ラ・ワリー》「さようなら故郷の家よ」マリア・カラス | 10,215 | 0.6% | 33,535 | 0.4% | 3:16 |
| 33 | ワーグナー《タンホイザー》「夕星の歌」フィッシャー=ディースカウ | 9,582 | 0.5% | 31,580 | 0.4% | 3:17 |
| 34 | プッチーニ《蝶々夫人》「ある晴れた日に」レナータ・テバルディ | 8,506 | 0.5% | 22,211 | 0.3% | 2:36 |
| 35 | プッチーニ《トスカ》「星は光りぬ」ジュゼッペ・ディ・ステーファノ | 8,442 | 0.5% | 18,685 | 0.2% | 2:12 |
| 36 | ワイル 《三文オペラ》「モリタート」歌:ブレヒト | 8,180 | 0.5% | 16,964 | 0.2% | 2:04 |
| 37 | ヴェルディ《リゴレット》「女心の歌」カルーソー | 8,007 | 0.5% | 10,805 | 0.1% | 1:20 |
| 38 | マスカーニ《カヴァレリア・ルスティカーナ》「ママも知るとおり」マリア・カラス | 7,927 | 0.4% | 20,751 | 0.3% | 2:37 |
| 39 | プッチーニ 《トゥーランドット》「氷のような姫君の心も」マリア・カラス | 7,558 | 0.4% | 14,270 | 0.2% | 1:53 |
| 40 | ロッシーニ 《セビリアの理髪師》「今の歌声は」マリア・カラス | 7,439 | 0.4% | 21,251 | 0.3% | 2:51 |
| 41 | ウェーバー 《魔弾の射手》 第2幕全曲 カイルベルト指揮 ベルリン・フィル | 7,361 | 0.4% | 30,580 | 0.4% | 4:09 |
| 42 | プッチーニ 《蝶々夫人》 第1幕全曲 テバルディ/セラフィン指揮 | 7,059 | 0.4% | 60,155 | 0.7% | 8:31 |
| 43 | ヴェルディ 《リゴレット》 「慕わしい名前」 マリア・カラス | 6,728 | 0.4% | 24,340 | 0.3% | 3:37 |
| 44 | ヴェルディ《リゴレット》「女心の歌」デル=モナコ | 6,706 | 0.4% | 11,363 | 0.1% | 1:41 |
| 45 | ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》~愛の死 マリア・カラス | 6,566 | 0.4% | 19,718 | 0.2% | 3:00 |
| 46 | ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》第1幕全曲 ニルソン/ショルティ指揮 | 6,442 | 0.4% | 68,204 | 0.8% | 10:35 |
| 47 | J.S. バッハ 《マタイ受難曲》 第1部全曲 クレンペラー指揮 | 6,255 | 0.4% | 66,573 | 0.8% | 10:38 |
| 48 | ヴェルディ 《アイーダ》第2幕全曲 カラヤン指揮/ウィーン・フィル | 6,042 | 0.3% | 51,860 | 0.6% | 8:34 |
| 49 | ワーグナー《パルジファル》第1幕 クナッパーツブッシュ指揮(1951) | 5,936 | 0.3% | 76,549 | 0.9% | 12:53 |
| 50 | プッチーニ《ラ・ボエーム》第1幕全曲 セラフィン指揮/テバルディ | 5,868 | 0.3% | 39,718 | 0.5% | 6:46 |
9月に公開して4カ月足らずで18位に食い込んだ
カラスが歌う「ハバネラ」が来年どこまで順位を上げるか楽しみです。ちなみに
2013年のランキングはこちら。
では、メンバーのみなさま、ゲストのみなさま、今年もお世話になりました。よいお年を。
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この記事へのコメント
廉価版LPには片面収録時間が45分を超えるようなものもありました。例えば1枚にチャイコフスキーの交響曲4&5.
それらは内側ぎりぎりまで溝が切ってあって、聴くと素人耳にも判る酷い歪みがありました。
もしあれが歌曲だったら、とても我慢ならなかったでしょうね。