モーツァルト 《魔笛》 全幕 YouTube動画公開
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翻訳はwagnerianchanさまです。字幕に必要な追加の和訳を今回も快く引き受けてくださいました。いつもありがとうございます。
追加訳のうち、オリジナル台本になぜか欠けている「俺は鳥刺し・3番」などをウィキのテキスト対訳にも追記し、オリジナルとの差異が分かるようにドイツ語をフォント色グレーで示しました。また、従来7ページに渡ったテキスト対訳を3ページにまとめ、対訳行の横幅も広げました。折り返しが減って多少読みやすくなったかと思います。
ちょうど先日、フィギュア全日本選手権で優勝した宮原知子選手がショート・プログラムで《魔笛》を使っていましたね。出だしの部分はここらへんです。その他の曲は探してみてください。(魔笛動画に限らず)フィギュア関連ブログなどで共有大歓迎(埋め込みプレイヤーでも開始位置が指定できるのね)。ちなみに使ってなかった超人気曲「夜の女王のアリア」はここらへんから始まります。
HD画質でコンパイルしたかったのですが、WMMの気まぐれでどうしてもうまく行きませんでした。(先日公開した《エレクトラ》全曲100分がHDにできるのに何故???)
音源はオットー・クレンペラー指揮/フィルハーモニア管弦楽団です。1964年録音同年公開のため昨日2014年12月31日で公開から50年が経過し、日本をはじめ著作隣接権保護期間を50年と定める国ではパブリックドメインとなりました。
歌劇『魔笛』全2幕
タミーノ:ニコライ・ゲッダ (T)
パミーナ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ (S)
パパゲーノ:ヴァルター・ベリー (Br)
夜の女王:ルチア・ポップ (S)
ザラストロ:ゴットロープ・フリック (B)
弁者:フランツ・クラス (B)
第1の侍女:エリーザベト・シュヴァルツコプフ (S)
第2の侍女:クリスタ・ルートヴィヒ (Ms)
第3の侍女:マルガ・ホフゲン (A)
パパゲーナ:ルート=マルグレート・プッツ (S)
モノスタトス:ゲアハート・ウンガー (T)
第1の武者:カール・リーブル (T)
第2の武者:フランツ・クラス (B)
第1の僧侶:ゲアハート・ウンガー (T)
第2の僧侶:フランツ・クラス (B)
第1の童子:アグネス・ギーベル (S)
第2の童子:アナ・レノルズ (S)
第3の童子:ジョゼフィーン・ヴィーズィ (S)
フィルハーモニア合唱団
ヴィルヘルム・ピッツ(合唱指揮)
フィルハーモニア管弦楽団
オットー・クレンペラー(指揮)
録音時期:1964年3月、4月
録音場所:ロンドン、キングズウェイ・ホール
録音方式:ステレオ(セッション)
クレンペラー盤は台詞が省かれ音楽のみの収録です。別の音源から台詞パートを補っています。フリッチャイ盤(DG/MONO)を使いました。
私は《魔笛》でも《カルメン》でもCDで聴くときは台詞が始まるとたいていリモコンでスキップしちゃいます。声優さんが演じる台詞パートをラジオ・ドラマでも聞くように楽しめるほど語学力はないし、台詞までいちいち対訳テキストを追いかけるのも面倒ですので。
しかし対訳字幕が自動的に流れるのであれば、筋がスムーズに繋がる台詞パートがあったほうが良いと考えました。「俺は鳥刺し」の後いきなり「なんと美しい絵姿」と歌われてもなんのことやらわかりませんでしょ。この間にタミーノとパパゲーノの台詞で二人のキャラクターが紹介され、三人の侍女がタミーノにパミーナの絵姿を渡しお話が展開する様子をお楽しみいただければと思います。
ドイツ語になじんでいる方はドイツ語字幕の綴りが見慣れない形になっているのにお気づきかと思います。「sein → seyn」「drei → drey」などが目立ちます。「th」「nn」とか他にもあるんじゃないかな。こちらのページによると『18世紀には動詞 sein を、代名詞 sein と区別するために、seyn と書いた』そうですよ。この《魔笛》の字幕ではオリジナル台本による箇所は古い記法、主に台詞パートなどで書き加えた箇所は現代の記法となっていて、両者が混在しています。ご了承ください。
ずいぶん時間がかかってしまいました。超人気オペラだけに(オペ対の作品別ページビューもダントツのトップです)、もっと早くリリースすべきでしたね。制作をスタートしたのが2012年春頃なのであれから2年半、ようやく公開にこぎつけました。
当初はベーム旧盤(音楽)+フリッチャイ盤(台詞)を使って制作にかかりました。これ立派な演奏なんですがあんまり楽しくない。ガミガミ親父が怖くてみんなソワソワしながらやってる感じ。第1幕の夜の女王登場のあたりまで作ったところで、台詞パートの追加訳も必要だしどうしようと考えているうちに、いったん挫折してしまいました。
時は流れて、2014年末に保護期間が切れる二つの盤が視界に入ってきたところで奮起しました。ベーム新盤とクレンペラー盤、どちらか迷った末にクレンペラーを選びました。大正解だったと思います。
クレンペラーの指揮がすばらしいのはもちろんのこと女声陣が充実しています。シュヴァルツコップにルートヴィヒが侍女ですからね。そして今回が動画対訳初登場となる若い二人、ルチア・ポップとグンドゥラ・ヤノヴィッツがはち切れんばかりの魅力を振り撒いています。録音当時まだ20代半ばですので、後にドイツ・オペラ界をしょって立つソプラノのキャリア開始時の録音です。これから年が改まる毎に彼女たちの録音の保護期間50年が終了し、次々とパブリックドメイン入りするはずです。今から楽しみです。
さて苦労して作った《魔笛》ですが、たぶんこれでおしまいではなく、いつかもう1本ぐらい作ることになるんでしょうね。こちらが今回使った音源も含んだ候補リストです。
■ 《魔笛》 カラヤン/ウィーン・フィル
録音:1950年 公開:1952年 保護期間終了:2002年12月31日→ Amazon
■ 《魔笛》 フリッチャイ
録音:1955年 公開:1955年 保護期間終了:2005年12月31日→ Amazon
■ 《魔笛》 ベーム/ウィーン・フィル
録音:1955年 公開:1960年 保護期間終了:2010年12月31日→ Amazon
■ 《魔笛》 クレンペラー/PO
録音:1964年 公開:1964年 保護期間終了:2014年12月31日→ Amazon
■ 《魔笛》 ベーム/BPO
録音:1964年 公開:1964年 保護期間終了:2014年12月31日→ Amazon
■ 《魔笛》 スウィトナー
録音:1968年 公開:未確認 保護期間終了予定:未確認→ Amazon
■ 《魔笛》 ショルティ/ウィーン・フィル
1969年 公開:1970年 保護期間終了予定:2020年12月31日→ Amazon
■ 《魔笛》 サヴァリッシュ
録音:1972年 公開:1973年 保護期間終了予定:2023年12月31日→ Amazon
世評が高いのはショルティでしょうか。でも保護期間延長圧力を2021年までいなし続けられるとはちょっと考えにくいですよ。
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