マリア・カラスが歌う 《椿姫》 「花から花へ」 YouTube動画公開

ヴェルディジュゼッペ・ヴェルディ 《椿姫(ラ・トラヴィアータ)》 第1幕からヴィオレッタのアリア「ああ、そは彼の人か~花から花へ」のイタリア語日本語対訳字幕付きYouTube動画を公開します。翻訳はSuperSEさまです。

動画はこちら → 椿姫
対訳はこちら → 椿姫

音源は昨年再発されたマリア・カラスのスタジオ録音全曲盤からの抜粋。この音源は公開から50年以上が経過し、日本をはじめ著作隣接権保護期間を50年と定める国では、パブリックドメインとなっています。



悪名高き音盤として有名なのかな?現在ではワーナーから発売されていますが、元々はイタリア・チェトラが制作したもの。この録音の契約に以後数年間他社での《椿姫》録音を禁じる条項があったらしく、後にカラスがEMIと専属契約を結んでからも《椿姫》のスタジオ録音は叶わなかったというのは有名なハナシ。おかげでカラス・ファンは音質・内容とも満足できる《椿姫》ライヴ盤を求めて漂流することになるのでした。

EMIは仕方なくステッラを起用して《椿姫》を録音しましたが、そのとき指揮を務めた自分の師匠セラフィンにカラスは腹を立てて(一時的に?)仲違いしたらしい。あんたの旦那(マネージャーだった)がサインさせた契約のせいだろうがと思うのですが、ヴィオレッタに絶対の自信があったカラスは、セラフィンに「カラスが歌わないのなら俺は振らん」と降りて欲しかったんでしょう。

さて、カラスの《椿姫》全曲盤動画対訳はどうしましょうかね。音質最悪ではありますが世評の高い1955年スカラ座ライヴ盤を使って第1幕だけは2011年12月に作りました。続きを作ろうとは思っているのですが、これ権利的にどうなのかちょっと自信がない。

EMI盤には(P)1990の表記がある(1997表記の盤もあり経験上EMIはこの辺すごくいいかげん)。これが正しければ著作隣接権は継続中ということになります。

ですがスカラ座ライヴ盤はLP時代から有名なもので、世界中の図書館に収蔵される資料を網羅する WorldCat によると、古いものでは録音年の1955年に出たLP盤があるし、友社の資料によると日本でもワルター協会盤LPとかチェトラ盤LPとかあったらしい。1955年に公開されていたのだから、著作隣接権は切れていると考えてよさそうではある。

ただしそのLP盤が「S.l. : Private record」(S.l. はsine loco、ラテン語で出版所名なしなんだと)と表記されているとなんとなく心許ない。LP盤はいずれも海賊盤だったのだろうか。海賊盤の公開年を隣接権の起点にするのもどうかと思うし、一方で図書館に収蔵される程度に公的な資料であるのだから公開されていたと考えてもよさそうな気もする。

というわけで、カラスの《椿姫》第2幕以降はこのモヤモヤがすっきりしてから取りかかろうかと思っています。全幕どうしても見たい方はサザーランドの《椿姫》をどうぞ。

来週から佐渡裕プロデュースオペラが《椿姫》をやります。チケットの売れ行き好調です。このシリーズ毎回人気ですが、兵庫県の資料によると《カルメン》のときは15回公演で3万人以上も集めたらしい。関西パワーあるよなあ。佐渡人気のおかげなのか、宝塚歌劇のお膝元だからなのか。

兵庫県立芸術文化センター開館10周年記念公演
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2015
ヴェルディ『椿姫』

7/14(火)~26(日)
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール

【7/14-17-19-22-25】
ヴィオレッタ:森麻季
アルフレード:ルチアーノ・ガンチ
ジェルモン:マーク・S・ドス
フローラ:谷口睦美
ガストン子爵:小貫岩夫
ドゥフォール男爵:斉木健詞
ドビニー侯爵:大山大輔
グランヴィル医師:ジョン・ハオ
アンニーナ:渡辺敦子

【7/15-18-20-24-26】
ヴィオレッタ:テオナ・ドヴァリ
アルフレード:チャド・シェルトン
ジェルモン:高田智宏
フローラ:ルネ・テータム
ガストン子爵:渡辺大
ドゥフォール男爵:久保和範
ドビニー侯爵:町英和
グランヴィル医師:森雅史
アンニーナ:岩森美里

合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

指揮:佐渡裕
演出:ロッコ・モルテッリーティ
装置:イタロ・グラッシ
衣裳:カルメラ・ラチェレンツァ
照明:ルチアーノ・ノヴェッリ
映像:マウロ・マッテウッチ
合唱指揮:シルヴィア・ロッシ
原語指導・声楽コーチ:ケヴィン・マーフィー
演出助手:菊池裕美子
プロデューサー:小栗哲家

注目の若手、山田和樹も演奏会形式を振ります。

歌劇「椿姫」(演奏会形式)

2015年7月18日(土)午後3時

東京エレクトロンホール宮城

ヴィオレッタ:安藤 赴美子
アルフレード:西村 悟
ジェルモン:小森 輝彦

仙台フィルハーモニー管弦楽団
指揮:山田和樹

「東京エレクトロンホール宮城」ってどこにあるの?
東京にあるの?宮城にあるの?<仙台です!

椿姫
ランキングを見る(にほんブログ村 オペラ)
ランキングを見る(人気ブログランキング クラシック)

にほんブログ村 外国語ブログ イタリア語へ

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック