マリア・カラスが歌う 《カルメン》(全曲) YouTube動画公開
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カルメンを歌うのはマリア・カラスです。カラスのアリア動画はもうたくさん作ってありますけど、オペラ全幕はこれが初登場となります。(椿姫はまだ第1幕だけ)
クラヲタには説明不要の名盤ですが、ゼフィレッリの映画「永遠のマリア・カラス」の鍵となるアイディア(声を失ったカラスをオペラ映画で復帰させる)として取り上げられ、オペラに関心がない人にも広く知られることとなりました。今ではひょっとするとオペラ録音史上、最も有名な音盤と言えるかもしれません。
ですがこの音源も昨年末で公開から50年が経過し、日本をはじめ著作隣接権保護期間を50年と定める国では、パブリックドメインとなっています。
EMI の資産を引き継いだワーナーからカラスのリマスター音盤が昨年大量に再発されました。今回の動画に使った音源はそのリマスター盤がFLACになってネットに転がっていたのを、WAVEに戻して使用してます。昔聴いたCD(たぶん1990年頃の国内盤)の記憶よりずいぶん鮮明な音になっているように感じました。
ビゼー:歌劇『カルメン』全曲
マリア・カラス(ソプラノ)
ニコライ・ゲッダ(テノール)
ロベール・マサール(バリトン)、他
ルネ・デュクロ合唱団
パリ・オペラ座管弦楽団
ジョルジュ・プレートル(指揮)
録音時期:1964年7月6-20日
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
2014リマスター
ロス・アンヘレスが歌った《カルメン》(全曲)を昨年公開済みです。ですが悲しいかな、再生回数があんまり伸びてきません。一方、やはり昨年のうちに公開したカラスが歌う「ハバネラ」はすごいことになってます。これは《カルメン》に限ったことではありませんが、やっぱりカラスの知名度はダントツで他の歌手が束になってもカラス動画にはまるで歯が立たない感じです。
そんなことはわかっていたので、当初ロス・アンヘレスの《カルメン》は作るつもりはありませんでした。作るにしてもずっと後回しにするつもりだった。ある人の勧めで作ることにしたんですが、今では作ってよかったと痛感しています。
ロス・アンヘレス盤の指揮はトーマス・ビーチャムです。私は今まであんまりビーチャム聴いてなくて、アマチュアのくせに顔のでかいふざけた爺さんだぐらいにしか思ってませんでした。いやあ、すげージジイですわ!音楽のツボを知り尽くしてます。この人から見ればカラス盤の指揮者プレートルなんて青二才もいいとこでしょうね。
「セギディーリャ」のテンポの動かし方の見事なこと。アマチュアだからアンサンブルを整えるのは苦手だろうなんてとんでもない。第2幕の五重唱がこんなにピッタリ合ってしかも輝かしく響く例を私は知りません。しかし、いかんせん同じレーベル、同時代のパリ録音、ドン・ホセはどちらもニコライ・ゲッダということで、時が経つにつれロス・アンヘレス盤はカラス盤の影に隠れて消えていってしまう運命なのかもしれません。
というわけで、カラス盤を公開したばかりではあるんですが、是非、ロス・アンヘレス/ビーチャム盤と聴き比べてみてください。ロス・アンヘレスのカルメンだって、カラスに負けないぐらいチャーミングですし。
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この記事へのコメント
カラスは実に巧いですね。彼女のベルカントオペラは私はちょっと受け付けないのですが、これやジョコンダ、トスカなどはやはり見事だと思います。
それとロス・アンヘレス盤、カラス盤ともに特筆すべきなのは、第1幕のハバネラが終わったあとのカルメンとホセとのやり取り、ここは他の多くの演奏では黙劇にしていて歌わせ(語らせ)ないのですが、両盤ともに見事に演奏されていますね。動画ではカラスの投げた花の方が大輪で華やかですがこれは役のイメージでしょうか。
この作品ばかり動画に、という訳にも行かないでしょうけれども、次の機会があれば是非レズニック、デル・モナコ、サザーランドの個性的なシッパース盤を。指揮者も含めてみんなやりたい放題の鮮烈な演奏です。
>カラスの投げた花の方が大輪で華やかですが
たまたま新しい手を思いついただけです(笑)
>次の機会があれば是非個性的なシッパース盤を。
え~~、次はカラヤン盤にしようと思っていたのに!(笑)
まあ、ネットで音源が拾えたら考えます。