ラヴェル《子供と魔法》全曲 マゼール指揮 YouTube動画公開

オペラ1時間後の20時から、モーリス・ラヴェル《子供と魔法》全曲のフランス語日本語対訳字幕付きYouTube動画をプレミア公開します。翻訳は梅丘歌曲会館の藤井宏行さまです。

対訳はこちら → 子供と魔法
動画はこちら → 子供と魔法

2020年に作った《スペインの時》と対になるマゼールの名盤です。このオペラの動画化にあたっては、何かイラストとかを添えて演出を加えるべきかと、ずっと思い悩んでいました。しかし、絵心のない私ですのでそういうのはきっぱり諦めました。何が起こっているのかわからないときは、ウィキのテキスト対訳のト書きを確認しながらご鑑賞ください。この音源は2017年末の時点で公開から50年以上が経過し、2017年まで著作隣接権保護期間を50年と定めていた日本では、パブリックドメインとなっています。



なお、この機会に、2ページだったウィキのテキスト対訳を1ページにまとめ、フランス語に役名太字化、ト書き斜体化を施しました。

ラヴェル:歌劇『子供と魔法』全曲

子供:フランソワーズ・オジェア(ソプラノ)
火、お姫様、うぐいす:シルヴェーヌ・ジルマ(ソプラノ)
ママ、ティーカップ、とんぼ:ジャニーヌ・コラール(メゾ・ソプラノ)
安楽椅子、白猫、リス、羊飼い:ジャーヌ・ベルビエ(ソプラノ)
こうもり、ふくろう、羊飼いの娘:コレット・エルゾグ(ソプラノ)
肘掛椅子、樹:ハインツ・レーフス(バス)
振り子時計、黒猫:カミーユ・モラーヌ(バリトン)
ティーポット、数字のこびと、カエル:ミシェル・セネシャル(テノール)

フランス国立放送管弦楽団&合唱団
ロリン・マゼール(指揮)

録音時期:1960年11月
録音場所:パリ、サル・ド・ラ・ミュテュアリテ
録音方式:ステレオ(セッション)

ハラキリだとか早川雪洲だとか、コレットは中国も日本もたいして違いはないと思ってたみたいです。ティーカップがしゃべる謎のフランス語はこちらのブログに解説があります。

火は、いたずら小僧に警告します。『親切な神々をお前は侮辱したのだよ 不幸とお前とを隔てる壊れやすい垣根を守ってくれていたのに! 』

暖炉あるいはカマドは、ヨーロッパ人にとって聖なる場所だという知識がないと、なんのことやらわかりません。

人間が住む空間である小宇宙は大宇宙のなかに位置をもっているのですが、それは大宇宙のなかでかろうじて人間が制御しうる限りで大宇宙の諸力をとりこんだ空間でした。たとえば家のなかにはカマドがありますが、カマドの火は本来大宇宙のものでした。プロメテウスの神話やダンテの『神曲』にみられるように、神の国や地獄の業火など人間が制御しえないものの一つが火であったことはよく知られているとおりです。(中略)

カマドは大宇宙の諸力の一つである火を人間がかろうじて閉じ込めた場所でしたから、家のなかでも極めてあやうい場所でした。人間はカマドを聖なる場所とし、家の中心としたのです。(中略)

いずれにしても人間はカマドのなかに大自然の火をとりこんだとき、大宇宙の力である火に対して最大限の儀礼を営んで扱ったのです。近世に入っても嫁入りしてきた女はカマドのまわりを三回まわって初めて家の人間として承認されたし、家長は何か重大な決定をするときカマドに手をついて命令を下したといわれています。

これを読んでワグネリアンなら、《ワルキューレ》第1幕でフンディングがジークムントに一夜の安全を保証する場面を思い出すかもしれません。『我が家のかまどは聖なるかまど… おぬしにとっても、我が家が聖なるものであるように! 』

来月、初台の新シーズンが開幕です。残念ながら《アンジェリカ》は台本作家の著作権保護期間が継続しているためウチでは扱えません。

ジャコモ・プッチーニ『修道女アンジェリカ』全1幕〈イタリア語上演〉
モーリス・ラヴェル『子どもと魔法』全2部〈フランス語上演〉
〈日本語及び英語字幕付〉

2023年10月1日(日)14:00
2023年10月4日(水)19:00
2023年10月7日(土)14:00
2023年10月9日(祝)14:00

新国立劇場 オペラパレス
予定上演時間:約2時間(休憩含む)

アンジェリカ:キアーラ・イゾットン
公爵夫人:マリアンナ・ピッツォラート
修道院長:塩崎めぐみ
修道女長:郷家暁子
修練女長:小林由佳
ジェノヴィエッファ:中村真紀
オスミーナ:伊藤 晴
ドルチーナ:今野沙知恵

子ども:クロエ・ブリオ
お母さん:齊藤純子
肘掛椅子/木:田中大揮
安楽椅子/羊飼いの娘/ふくろう/こうもり:盛田麻央
柱時計/雄猫:河野鉄平
中国茶碗/とんぼ:十合翔子
火/お姫様/夜鳴き鶯:三宅理恵
羊飼いの少年/牝猫/りす:杉山由紀
ティーポット:濱松孝行
小さな老人/雨蛙:青地英幸

新国立劇場合唱団
世田谷ジュニア合唱団
東京フィルハーモニー交響楽団

指揮:沼尻竜典
演出:粟國 淳
合唱指揮:三澤洋史

美術:横田あつみ
衣裳:増田恵美
照明:大島祐夫
振付:伊藤範子
舞台監督:髙橋尚史

たしか《ジャンニ・スキッキ》と《フィレンツェの悲劇》のダブルビルをやりましたね。フィレンツェつながりということで。今回は母子つながりらしいです。とすれば、次は《外套》と《スペインの時》のダブルビルでしょう。浮気女房つながりで。

子供と魔法
ランキングを見る(にほんブログ村 オペラ 人気ランキング)
ランキングを見る(クラシック情報サイトボーダレスミュージック)

にほんブログ村 外国語ブログ フランス語へ

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック