アイヴズ「将軍ウィリアム・ブース天国に入る」ニクソン YouTube動画公開

オペラチャールズ・アイヴズは本日で生誕150年。シェーンベルクホルスト、アイヴズはタメだったんですね。歌曲「将軍ウィリアム・ブース天国に入る」の英語日本語対訳字幕付きYouTube動画を公開します。翻訳は梅丘歌曲会館の藤井宏行さまです。

歌っているのはマーニ・ニクソン。じぇじぇじぇ!このひと落武者……もとい、影武者じゃないですか、オードリー・ヘップバーンナタリー・ウッドの。サムネイル用のポートレートを見つけてまたビックリ。すげー美人じゃないですか。映画版イライザもジュリー・アンドリュースだったらというのは誰しも思うことだけど、いっそマーニ・ニクソンでよかったんじゃ、声だけじゃなく。

この音源は1967年にノンサッチから発売され、後にEMIが買い取ったか借りたかしたようです。ぎりぎりセーフでパブリックドメインとなっています。



マーニ・ニクソンを知らなくても気がつく人がいるかもしれません。「イライザ・ドゥーリトルがアイヴズを歌ってる!」

将軍ウィリアム・ブースは救世軍の創始者。彼が現世で救った貧民たちを引き連れて天国に至る様子が歌われています。ものすごい不協和音ですが、賛美歌やゴスペルのパロディだと思って聴けます。

繰り返される「Are you washed in the blood of the Lamb?」について、念のため Chat GPT に訊いてみました。

「Are you washed in the blood of the Lamb?」の意味と由来を教えて

「Are You Washed in the Blood of the Lamb?」(邦訳では「主イエスの血に清められたか」など)は、1878年にアメリカのゴスペル作曲家エリシャ・A・ホフマン(Elisha A. Hoffman)によって書かれたキリスト教の賛美歌です。この曲は、特に福音派やバプテスト派の教会で広く歌われ、キリスト教神学に基づく象徴的なテーマを扱っています。

意味
歌の中心テーマは「キリストの血による清め」です。キリスト教では、イエス・キリストを「神の子羊(Lamb of God)」と呼び、彼の犠牲的な死が人々の罪を清め、永遠の救いをもたらすと信じられています。ここで「血」は、イエスの十字架での死とその犠牲によってもたらされる贖罪(あがない)を象徴しています。

「Are you washed in the blood of the Lamb?」は、「あなたはイエス・キリストの犠牲によって罪が清められましたか?」という問いかけです。これは、信者がイエスの贖罪を信じて、その救いを受け入れたかどうかを問うものです。

由来
この歌の背景には、キリスト教の「贖罪論」(atonement theory)があります。旧約聖書では、神との和解や罪の許しのために犠牲の動物(子羊など)が神に捧げられることが記されています(レビ記など)。新約聖書では、イエス・キリストがその究極の「子羊」として、自らを犠牲に捧げ、人類の罪を贖ったとされています(ヨハネによる福音書1:29など)。

歌詞自体は、福音派の伝統的な救済メッセージを反映しており、信仰による個人的な「救いの確信」を強調しています。この問いかけは、信者にイエス・キリストの犠牲を個人的に受け入れたかどうかを確認するよう促しています。

賛美歌自体は、19世紀のアメリカで起こったリバイバル運動やゴスペル音楽の流行とも関連しています。

一瞬でこれだけの解説が出ました。ホフマンの由緒正しき賛美歌はこちら

ニクソンのアイヴズはこのとおり、スポティファイで無料で聴けます。



数年前《サウンド・オブ・ミュージック》のサントラ盤を聴いているとき気づきました。「修道女のなかにイライザ・ドゥーリトルがいる!」

そういえばそんなハナシを聞いたような気がしてきたので調べてみるとやはりそうでした。

《サウンド・オブ》も《マイ・フェア・レディ》も、10代の頃からサントラLPでしょっちゅう聴いていたのに五十を過ぎてようやく気づくなんて。まあ若い頃より耳が良くなっていることを喜ぶべきなのか……。

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この記事へのコメント

藤井
2024年10月25日 21:43
マーニ・ニクソン談義楽しく拝見しました。私も「マイ・フェア・レディ」のサントラは若い頃から聴き込んでおりましたので、この人がクラシック畑でも活躍していたことを知った時は大変な驚きでした。
中でも、ロバート・クラフト他と1957年に入れたウェーベルン作品全集でソロの歌曲をほとんど彼女が歌っているというのは特筆すべきことでしょう。「イライザ・ドゥーリトルがウェーベルンを歌ってる!」しかし難解と言えるウェーベルンの作品が彼女の声で聴くとすっと入って来るのは、声質の魅力もあるのでしょうけれどもやはり彼女の才能の賜物ではないかと思います。アイブズ同様に日本では著作権切れかと思われますので動画対訳になさる際にはぜひうちの対訳をご利用ください。まだ対訳のない後期のヨーネの詩による作品もアップしていないだけで対訳は手元にあります。
管理人
2024年10月27日 22:47
コメントありがとうございます。
シェーンベルクがよかったベアーズリーのベルクがクラフト全集にあったので百歳の誕生日に出す予定です。コメント拝見してからよくよく見るとあらびっくり。クラフト全集にはニクソンもたくさん入ってたんですね。ぜんぜん気づきませんでしたよ。イライザ・ドゥーリトルのウェーベルン出しましょう。

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