中島清プロジェクト始動《タンホイゼル・ロオエングリン》

オペラ「中島清プロジェクト」をスタートします。協力してくれるボランティアさんをお待ちしております。

ボランティアさんにお願いする作業は、テキストの整形です。こちらの対訳ページに掲載した中島清による日本語訳を、適宜国会図書館の原文にあたりながら、左のドイツ語と対照するように整形してください。編集時ブラウザは Google Chrome を使ってください。いたずら防止のため、作業はメンバー登録(自動登録)してから行ってください。

作業にあたってくれたボランティアさんには、著作権はもちろんのこと、いかなる権利も発生しません。その点ご承知のうえご参加ください。

対訳テンプレートはこちら → タンホイザー
対訳テンプレートはこちら → ローエングリン

《ローエングリン》第1幕冒頭を少しだけ、私が整形しました。こんな感じでお願いします。底本の改ページ部分にゴミが溜まってますので気をつけてください。なにか困ったらメンバー専用伝言板まで。

なお左の独語原文は《タンホイザー》は訳出済のページのものと同じスイスのサイトから取ったものです。しかし独語、中島訳、いずれもドレスデン版なのかパリ版なのか、そのあたりの事情に詳しくないので、確認できていません。うまく対照できないときは相談しましょう。

一方《ローエングリン》は訳出済のページのものとは異なります。中島訳にはそちらのリブレットにない部分が訳出されていたので、捜索した結果、テキサスのロシア人のサイトの独語が近いようなので、これを採用しました。

さっそく中島清訳による動画対訳を作ってみました。ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスのエルザです。この音源は2017年末の時点で公開から50年以上が経過し、2017年まで著作隣接権保護期間を50年と定めていた日本では、パブリックドメインとなっています。



このとおりエルザも呼んでるので、いでよ白鳥の騎士!

中島清(1883年10月6日 - 1966年12月19日)によるリブレットの日本語訳が国会図書館にあるのは、もう十年以上前から知ってはいたのですが、目視で日本語を拾ってデジタルテキスト化する気は毛頭ないので、縦書き日本語テキストをOCRで拾えないか試行錯誤しては失敗していました。

先月、久しぶりに国会図書館を覗いてみたら「全文検索」機能が付いてました。ということは、この縦書き日本語を内部でデジタルテキスト化できてるってことじゃないですか。次のような手順でテキストを抽出しテンプレを作成しました。

1)国会図書館を開いてブックマークレットを使ってダウンロードする
2)ページ毎分割されたテキストファイルを1本のファイルに連結する
3)旧字体・旧仮名遣いを現代風に置き換える

テンプレには3)で置き換え漏らした古い日本語がまだ残っていると思うので、ボランティアさんご自身の判断で適宜修正してください。

実は、中島清は《トリスタン》も訳しています。《トリスタン》の訳はウチにもうふたつあるからパスしましたけど、どうしても《トリスタン》の中島訳をやりたいという人がいたら申し出てください。上の3つの工程のうち、1)2)は私がやりましょう。3)の作業からお願いします。ちなみに「愛の死」の中島訳はこんな感じ。

おつとりと軟かに、
何て立派に微笑んでお居でになる事でせう、
何てやさしう
お目が開いてゐる事でせう、
あなた方に御覽になれて、え、皆樣?
御覽になれない?
次第に明るく、
何てまあ照らされて、
星の光に圍まれて
高くお昇りになる事でせう?
あなた方には御覽になれない?
何て雄々しう
御心が漲つて
大きく崇高く
お胸の裡に湧く事でせう?
嬉しさうに和らかな
お脣には靜やかに
何て甘美なお息が
漂うてゐる事でせう、
あなた方、御覽なさいまし!
あなた方にはお分りになれない?お目に入らない?
私が聞いてゐるのは
たゞ此の節か知ら?
こんなに美妙に
幽かに、
歡喜の情を訴へつゝ、
一切萬事の意味を語りつゝ、
和らかに和解させつゝ、
トリスタン樣より響き出で、
私の心に迫り入り、
震ひ立ち、
やさしく響きわたりつゝ、
私の周りに鳴つてゐるわ。
ますます明るく朗えて鳴りつゝ
私を圍んで漂ひ罩めつゝ、
そよらの風の
波か、それは?
樂しい香氣の
濤か、それは?
その漲るのを、
私の周りにさらさら鳴るのを、
私は呼吸して行くのでせうか?
私は聞き入るのでせうか?
私はそれを啜るのでせうか、
それに溺れて沈むのでせうか?
香氣に浸りて恍惚と
息を引き取るのでせうか?
大濤の逆卷くなかに、
鳴り渡る響きのなかに、
此世の呼吸の
風と吹く萬有のなかに。
溺れて、
沈み、
自分をも知らず
至高の歡喜!

今回の記事を読んで「管理人がまた他力本願なプロジェクトを始めやがった」と思う方もいるでしょうね。否定はしません。

しかしこの「愛の死」を見てもらえれば分かる通り、大量に含まれている旧字体・旧仮名遣いを現代風に改める作業は地獄です。「おつとり→おっとり」「でせう→でしょう」「御覽→御覧」こういうのをいちいち拾っては、ひたすらテキスト一括置き換えを繰り返す。そんな3)のつまらない作業にたぶん20時間ぐらいかかってます。(ChatGPT にはこの作業はまだムリみたいです)

私としては、一番楽しい作業をボランティアさんに残したつもりです。

タンホイザー
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この記事へのコメント

2025年09月01日 21:03
国会図書館デジタルコレクションには中嶋清訳の「指輪」「マイスタージンガー」も入っています。念のための書き込みです。

古典劇大系 第19卷 ワグネル全集(下)
https://dl.ndl.go.jp/pid/1017137

閲覧には国会図書館のアカウントが必要ですが、これは作って絶対に損はないものです。
ワグネル全集(上)は蔵書から漏れているのか、デジタル化されていないようです。
管理人
2025年09月02日 23:31
ねむろT様

興味深い情報をありがとうございます。
タンホイザーとローエングリンが片付いたら指環にも手を伸ばしてみたいですね。

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